ポジティブ作業に根ざした実践(POBP)

介入マニュアル(Vol. 1)を作成しました


1.ポジティブ作業に根ざした実践とは?

ポジティブ作業に根ざした実践(Positive Occupation-Based Practice,以下POBP)とは,ポジティブ心理学,作業科学,作業療法学などの知見から,人間の健康と幸福を促進する可能性を有した作業の学習機会を提供し,その作業を実生活で習慣化できるように支援する実践方法です1)


2.POBPの有用性

POBPの有用性は,精神科領域をはじめ,地域高齢者に対してその肯定的な影響が認められています.たとえば,精神科デイケア,精神科入院作業療法,就労支援事業所などの利用者を対象にした介入研究では,通常の支援プログラムにPOBPを加えた介入群が,対照群(通常の支援プログラム)と比べてポジティブ感情や社会参加などに有用であったことが示唆されています2-4)

2)野口卓也,京極真,西本由香里,森親子,片尾勇人,細川聖司:精神障害を有する人における幸福を促進する作業療法プログラムの効果検証:非ランダム化比較試験.精神医学 62(6): 911-922, 2020.


3.どんな条件を持つクライエントに適用できるの?

POBPの適用は,その介入がクライエントの持つどのような要因(診断名,年齢,性別,治療期間,入院回数)によって影響を受けやすいのか調査した研究もあります。その結果,POBPの介入は入院回数によって影響を受ける可能性が示唆されています。言い換えると,POBPは入院回数以外の多くの要因(診断名,年齢,性別,治療期間)には影響を受けにくい実践方法であると考えられています5)


4.POBPに関する事例報告を確認したい

POBPの実践報告は,たとえば荒木が発表した事例報告があります6,7)。この報告では,精神科急性期病棟で療養中のクライエントを対象に,個別作業療法にPOBPを加えて支援した内容が描かれています。また最近では,POBPの適用条件を踏まえた追跡調査が行われており,入院回数が多いクライエントにPOBPの適用を検討した事例報告が発表されています。

7)橋爪卓,野口卓也(2021)重度精神障害者におけるポジティブ作業に根ざした実践(POBP)の臨床有用性−入院回数が多いクライエントへの適用を通じて−:第55回日本作業療法学会(ポスター発表:精神障害,PH-16)


5.介入マニュアルにはどんな内容が記述されているの?

POBPの介入マニュアルには,精神科デイケアにおける支援プログラムでPOBPに取り組む様子が解説されています。具体的には,①POBPをプログラムとして開始するために必要な物品,②事前評価,③学習教材の選定方法,④セッション中での支援者の役割,⑤ホームワークを支援する方法などが記されています。以下には,目次の内容を紹介しています。

<目次>
定義リスト
1.はじめに
2.POBPにおける体験用シナリオ
3.目標設定
4.POBPの特徴
5.POBPの位置付け
6.POBPで支援者に求められる技能
7-1.学習教材の選択
7-2.POBPで使用する学習教材
8.POBPのセッション概要
9-1.初めてのセッション:導入と紹介
9-2.初めてのセッション:ポジティブ作業の学習
9-3.初めてのセッション:ホームワークのサポート
10-1.2回目のセッション:導入と紹介
10-2.ホームワークが難しい場合の対応例
11.おわりに
12.文献


6.介入マニュアルの入手先

POBPの介入マニュアルは,noteを通じて入手することが可能です。
購入者には,特典としてPOBPで使用する学習教材をはじめ,目標設定シート,POBPをクライエントに導入するための資料などを入手することができます。つまり,POBPを現場で開始していく上で必要となる資料は全てパッケージ化されていることになります。是非,みなさんの日々の臨床にお役立て頂けると幸いです。



0 件のコメント:

コメントを投稿